あれから私は姉と沢山の話をした。
話せなかった期間を取り戻すように、
姉からは家族の話も聞いた…。
それに比例して蛍との通話は増えた。
日本に帰国する2日前のこと。
とうとう本当に帰りたくなって、
荷造りをしていた時に電話が震えた。
「…魅香、電話出ないの?」
小説を読む姉が不思議そうに問う。
蛍との通話も日常になりつつあった。
今更、通話前の一呼吸なんて無い。
「…知らない番号だ」
姉は気味悪そうに眉間に皺を寄せて、
私の携帯を机に伏せて置いた。
携帯はしばらく振動して止まり、
また数分してブルブルと振動を始める。
「出てみるね…」
「えっ。」
私は意を決して通話ボタンを押した。
しばらく無言が続く…。
「…もしもし?聞こえてますか?」
「どちら様?」
優しそうな声色にピシャリと返答。
あ、日本語だ…それに…知り合い?
姉が心配そうにこちらを見ている…。
「あぁ、良かった…繋がった。
僕、ホタル君のマネージャーです!」
ホタル…?ホタル…あ、蛍の!!
「澤田さん!何故、私の連絡先を!?」
澤田さんは言いにくそうに話を始めた。



