無名ファイル1


「魅香!明日は何処へ出かける?
ショッピングにしましょうか!!」

お風呂上りに髪を梳かしていると、

パジャマ姿の姉が私の部屋を訪れた。

「いいよ、行きたい所も無いから。」

可愛いワンピースの様なデザインで、

冗談抜きで姉が女神のように見えた…。

「それに姉様は仕事でしょう?」

姉は世界的に有名な歌手”彩乃”だ。

毎日仕事が忙しいのも知っているし、

ファンがいる人と外に出るリスクも、

緊張感も最近は特に経験している。

「仕事なんて入れないわよ~!
魅香とゆっくりできる時間を、
一秒たりとも無駄にしないわ!!」

むんっ!!と握り拳をつくる姉…。

可愛さも増してないか…???

「なら、一秒たりとも無駄にせずに、
私とずっとお喋りして過ごそうよ。
姉様に聞きたい事も沢山あるから!」

別にこの気持ちは嘘じゃない。

まぁ…疲労が溜まってる姉様を、

無理させないって理由も含むけど。

「…本当に家から出なくて良いの?」

「うん、学校の課題も沢山あるし…」

トホホ…と大量の教材を手にした。

「ふふっ、家で過ごすのも素敵よね!」

姉は女神の笑みを浮かべた…。