「再会したでしょう?月光の歌姫に。」

麗菜が今までに見たことの無い笑顔で、

蛍に詰め寄る。目が少しも笑ってない。

「これを期に奇跡の再会を果たす、
新曲でも出したら?祝福されるかも。」

蛍は冷たい視線で麗菜を見下ろした。

「麗菜?どうしたの…急に」

「魅香は黙ってて。」

私は麗菜に触れかけた手を引っ込める。

「私なりに凄く考えて想像して、
何時間もかけて完成させた台本を、
ザッと目を通して一言、書き直せ?
侮辱にも程があるんじゃない!?」

麗菜の鋭い声が教室を貫く…。

教室は重たい空気と静寂に包まれる。

「二人共!!落ち着くデース。
夏夜クンは意見があるなら明確に。
麗菜は冷静に聞き入れるべきデース。
良い舞台をつくろうという気持ちは、
みんな同じ。醜い言葉は不必要デス!
ほーら、仲直りするデース!!」

エミリアの優しい声が冷たい教室に、

じんわりと溶けてゆく…。

「はぁ…自分の心に余裕がなくて、
あなたに八つ当たりしてしまったわ…。
話は聞くべきよね…ごめんなさい。」

台本を握りしめ、俯く麗菜…。

その瞳には涙が滲んでいるのが見えた。

「麗菜…」