『月乃ちゃん、衣装なんだけどー!』

「あー、はいはい!採寸する?」

体育祭の一件とノーメイク効果で、

クラスメイトとすぐに馴染んだ。

入学当初は元ヤン疑惑があったこと、

私は最近知ったよ…あはは。

『わー!月乃ちゃんほそーい!!』

『あ、胸でかいね…ちょい潰そっか。』

つ、潰す!?私は密かに息を呑む…。

「黒崎、書き直せ。」

今まで台本に目を通していた蛍が、

台本を麗菜に突き返した。

「は?嫌だけど?」

ピリッと空気が締まる。

「ちょっと二人共…どうしたの?」

私が間に割って入ると両サイドから、

ギロッと睨まれる…え、こっわ…。

「麗菜やめるデース!野郎との喧嘩は、
麗菜の価値を下げるだけデース!!」

…言い方!!火に油注いでるから!!

「あの歌は実らない恋が題材だ。
お前の主観で雑に完結するな。」

その言葉に慌てて台本に目を通す。

確かに彼のソロ曲では気持ちを伝えず、

後悔する報われない切ない結末…。

台本では、その後再会しキスを交わす。

幸せな結末が描かれていた。

「あなたの恋は実ったじゃない。」

麗菜が冷めた笑みを浮かべた。