『キーンコーンカーンコーン』

二時限目の終わりを告げるチャイム。

教室に入ると麗菜とエミリアが、

こちらに気づいてあっ!と声をあげた。

「おはよう、随分満喫したようね。」

麗菜が私を見るなり茶化す。

とーっても羨ましいわーお土産は?と。

「お、おはよう、ちゃんとあるよ!
だから小突くのはお止めになって!!」

騒ぐ私たちに対してエミリアは静か…。

心配になって恐る恐る声をかけると、

バッと顔をあげ、ある方向を見つめた。

「ズルいデース…。ワタクシより、
先にデートにこぎつけるとは。
あの男…非常に憎いデース…!!」

視線の先は人だかり…中心に蛍がいる。

彼はこちらに気づいてフッと笑った。

めっちゃ格好良い…死人の出る微笑み。

あ、そうか…これがファンサなのか。

そんな二人にムキーッと怒るエミリア。

「どうどう、落ち着きなさい。
野郎よりあなたの方が魅力的よ。」

麗菜がぽむぽむエミリアの頭を撫でた。

「改めて…おかえりなさい、魅香。
あなたらしさが帰ってきた気がするわ。」

メイクじゃなくて…雰囲気がって。

私は一言”ただいま”と言って微笑んだ。