無名ファイル1


「魅香?」

心配そうに私を見つめる蛍。

私は蛍の腕の中に包み込まれていた。

「…おはよ、良い天気だねぇ」

「まだ日は昇ってない。…大丈夫か?」

蛍は私の目尻から零れる涙を拭う。

優しい声…冷たい心が溶けていく…。

「私、毎朝…本当の私を殺してた…。
鏡の前でなりたい自分を唱えた。
気づかなかった…毎晩夢で会うのに。
私…苦しくて、夢の中で泣いてた…」

溢れるように零れるように積もる言葉。

蛍はただ優しく私の頭を撫でた。

涙がとめどなく流れ、ポロポロ落ちた。

「…ごめん、蛍…起こした…よね」

数年振りの号泣に目元は真っ赤。

恥ずかしい…私は少し微笑んで見せた。

「…懐かしい表情…綺麗だ。
確かに華やかな笑顔も可愛いけど、
俺は魅香の優しい笑顔が一番好き。」

遮光カーテンの隙間から炎のような、

眩しい光が一筋差し込む…。

「…夜が明けたな。」

蛍の穏やかな声にまた涙が出そう。

零れそうになった涙をグイッと拭った。

「おはよう魅香、愛してるよ。」

「うぅ~っ…私もぉっ!!」

私はぎゅっと蛍に抱きついた…。

良かったね、彼は私を認めてくれるよ。