無名ファイル1


穏やかな空間と高鳴る胸の鼓動。

自分の心臓の音だけが耳にうるさい。

い、今…今の感じ…キス?キスした!?

「今、ちゅーした?嬉しい…ありがと」

平静を装って言葉を紡ぐ…。

男に免疫ないことがバレたくないから。

高校生だもん、キスくらい余裕でしょ?

…特に蛍なんて。綺麗な女の子とか、

周りにいっぱいいるんだろうし…。

「可愛いことばかり言うな…。
キスだけじゃ、足りなくなる。」

強く…優しく抱き締められる。

あっ…蛍の心臓もドキドキいってる…。

なんだ、蛍も緊張してるんだ。

「ふふっ…ごめんね、ほら早く寝よ!
あ、そういえばお仕事は?大丈夫??」

「急ぎじゃないから良い…おやすみ。」

そう言うと、蛍はすぐに背を向けた。

さっきまでお喋りしてたのに…。

寂しい…あたしは彼の背中を見つめる。

「っ!?」

背中をつぅっとなぞった瞬間、

彼はビクッと体を震わせ、振り向いた。

「魅香…悪戯は程々にしろよ?」

「理不尽!!蛍はあたしのこと、
散々くすぐり倒した癖に!!」

蛍はフッと鼻で笑った。

「お仕置きだってことをお忘れか?」

「…卑怯!!!」