暗闇の中、彼の体温と呼吸を感じる。
「…あっ、ちょ…そこ、触らないで」
「しぃっ、夜中だ…静かにしろ。」
意地悪く笑う蛍の息が鼓膜を揺らす。
藻掻くものの、手首を抑えられていて、
思うように抵抗できない。
「ひっ、あっ…」
背中を指先でなぞってここはどう?と、
あたしの耳元でわざわざ聞いてくる。
「どっ、どうって…」
蛍の香水の匂いが鼻をかすめる。
腰がビクリとはねた。
「もっ、むりぃ…ッ、きゃははっ!!」
もうダメ、ずっと我慢してたけど、
くすぐる指がプロすぎる!!!
これは兄弟のいる指使いだわ!!
「ほら、降参か?」
「降参降参!!ごめんって!」
蛍は電気をつけるため、体を起こした。
あたしが服を掴むと困ったように笑う。
「魅香と俺は根本的に体格差がある。
さっきだって動けなかっただろ?」
「あたしだって蛍じゃなかったら、
意地でも起きたまま夜を過ごすよ!!
当たり前じゃん…馬鹿にしてんの?」
暗闇の中、緊張で震えるあたしの声が、
微かに空気を揺らした…。
「んっ…」
優しい感覚…唇にそっと触れる温度。
暗闇と静寂が心地いい。



