無名ファイル1


「はぁ、劇場最高…」

余韻が抜けないあたしの前には、

ジェットコースターの椅子…。

とうとうきたか…あたし達の番。

あたしは腹を決めて椅子に腰かける。

「結局、絶叫系は大丈夫なのか?」

蛍が隣に腰かけながらあたしに問う。

「んー…まぁ、多分?そもそも、
遊園地に来ることがなかったから」

うちの両親は厳しくて娯楽なんて、

無縁って感じだったからね。

『では、ツギハギ号発車致します!』

元気なアナウンスのお姉さんの声で、

いよいよ車体がゆっくりと動き出す。

胸がどきどきと高鳴る…。

「…ねぇ、手…繋いでいい?」

「ビビってる…?」

小さな声であたしを茶化す蛍。

その間にも車体はじわじわと坂を上る。

もう逃げられない…落ちる未来のみ。

「仕方ないですねぇ、魅香チャンは。」

蛍はあたしの手をきゅっと握る。

「もう…落ちる…」

「大丈夫、ふわっとするだけだ。」

その浮遊感が怖いんでしょうっがぁ!!

「キャァァァア嗚呼ッ!!!!!」

あたしは無事に声帯をぶっ潰した。

髪は乱れに乱れるし…女の面影なし!

「…大丈夫か?」

「ん”…へーき…」