無名ファイル1


ーカップルと二羽の兎の物語。ー

机を隔て、向かい合って座る男女。

「私は心配して言ってるのに!!」

「しつこい!仕事の邪魔だ!!」

男女はカップル…仲は御覧の通り。

「あまり煩いと追い出すぞ。」

「…もう知らない!!!」

女は白兎を持って家を出てしまう。

ベッドサイドに黒兎が残された…。

この瞬間、男女の人生は狂い始める。

女は男の家を出てから他の男と、

ご縁があった…幸せだった…が、

男を忘れられず悲しみに捕らわれた。

男は女が出て行ってから、

仕事に没頭し悲しみを忘れた。

が、幸せを感じない空っぽな人間に。

男女は夢の中、昔を思い出す。

公園で彷徨う老人を助けたカップル。

するとぬいぐるみを渡された…。

「白兎は幸せを与える。
黒兎は悲しみを受け取る…。
決して離れ離れにならない事。」

夢から覚めた男女は公園へ走った。

公園で兎を手にする互いに再会。

「すまなかった、渡したかったんだ。
仕事を増やさないと買えなくて。」

「これ…!!」

女は左の薬指に目を奪われる。

「私こそ頭ごなしにごめんなさい!」

ふたり揃ってはじめて幸せ。