「そういえば…昔魅香の住んでた家は、
今どうなってるんだ?空き家??」

紅茶とクッキーをダイニングテーブルに、

出しているときに蛍が不思議そうに問う。

それもそのはず。今あたしが住むのは、

一般的な家庭の一軒家…昔のような、

庭が何坪もある豪邸ではない。

「親戚が住んでるらしいよー!
ここは以前父様が作曲で籠ってた時に、
一人で住んでて最低限の家具があるの!」

「…ご両親はどこに?まさか女子高生が、
一人暮らしってことはないだろ?」

ないだろ?と圧をかける…いや、親か?

「オーストリアだけど?」

「防犯意識は幼稚園児止まりかよ!」

蛍は嘆きながら勢いよく頭を抱えた。

「だって日本だよ?」

「なんだよ、その絶対的信頼は…。」

紅茶を啜るあたしをジト目で見る。

「第一、家族が誰もいないのに、
男を家に連れ込むんじゃない!!
まぁ、信頼してくれるのは嬉しいが。」

んー、でも蛍だしなぁ…何かあったら、

一番に助けてくれるし何を警戒するの?

「そもそも友達じゃん。」

いきなり刃物でグサッとされるほど、

恨まれることはしてないはずだし。

「友達…か。」