無名ファイル1


「…デート…魅香はあの野郎と、
付き合ってたデース!?!?」

先生と話していた蛍が凄い形相で、

バッとこっちを振り返る。

「バッ!!!声大きい!!」

教室全体にしっかり聞こえる声で、

大胆に驚くエミリア。

ズギャーン!って文字が背景に見える。

麗菜は物凄く渋い顔をしていた。

「ワタクシの魅香ぁぁぁあっ!!!」

「わぁ、エミリア…可愛い顔が台無し」

てか、デートって…。

涙と鼻水にまみれたエミリアの顔を、

ティッシュでごっしごし拭く麗菜…。

それにまたびぇぇぇんっと泣く始末。

「…そんなに嫌い?」

「嫌いよ。」

麗菜が間髪いれずに冷たい声でいう。

『ヒュッ!!』

あたしとエミリアはあまりの迫力に、

息を呑んで抱き合った。

「あの人はアイドル。昨日みたいに、
また危険を被るかもしれない…。」

…確かにその可能性は否定できない。

「それに…あの人が怜治を誘ったのよ、
アイドルに。そのせいで怜治は…。」

いや、絶対蛍を嫌う理由後半のやつ!!

「で?あんたは付き合わないの??」

「付き合わないよ、友達だもん。」

麗菜はまたしぶーい顔をした。