「もう!なんで二人と仲良くしないの!」

「俺だけに言われても…というか、
俺も物申したいことがあるんだけど?」

いつの間にか行き先の主導権を、

握られていたあたしは蛍に手を引かれ、

赤字で『生徒立ち入り禁止』という紙が、

貼ってある扉の前までやってきた。

「え、何するの?」

『カチャカチャ…カチャ…カチャン。』

「はぁ!?」

なんとこの輩扉を開けちまったのだ。

…随分と慣れた様子の手つきで…。

「…あんたもしかして常習犯?」

「さぁね、で、話の続きだけど。」

私を扉の向こうにポイッと放ると、

カチャンと扉の鍵を閉めた。

湿っぽい風が吹く…微かに雨の匂い。

あたしは吸い込まれる様に格子に、

手をかける…あ、遠くの方に雨雲。

「さて魅香チャン。あんなペラペラと、
昔話を他人にされると困るんだけど。」

あたしを囲うように格子に手をつく蛍。

視界に入る蛍の大きな手に胸が騒ぐ。

「それは…ごめん…なさい。」

蛍は私の首に顔をうずめてフッと笑った。

息がかかるたびに腰がびくりと脈打つ。

「お喋りな魅香チャンにはお仕置き。」

あたしは息を呑んだ。