「魅香ちゃん!!」

大きな声に呼ばれてハッと目を覚ます。

目の前には覆いかぶさるような体制で、

あたしを覗き込む汗だくの夏夜の姿。

眼鏡つけてない…見えるのかな?

「夏…夜…?」

あたしは夏夜の頬に手を伸ばして、

彼の汗を拭った。

「ッ…マジで焦った…。」

夏夜はあたしの無事を確認すると、

安心したようにあたしを起こして、

ぎゅっと包み込む様に抱きしめた…。

そうだ…あたし倉庫に…!!

やっと自分の置かれていた状況を、

思い出してゾッとする。

「助けてくれてありがと…」

危うく白骨化するとこだったー!と、

冗談をかまそうとした時だ…。

目の前で彼のネックレスが音を立てた。

見たことのあるデザイン…。

チェーンに吊るされている小さな指輪。

「それ…」

「どこか痛むか!?」

いや痛いよ、でも違うそうじゃなくて。

あたしは恐る恐る言葉を紡いだ…。

「ケイ…ちゃん?」

間違いない、ムーンストーンの指輪。

あたしの声にサァッと青ざめた夏夜。

その反応で疑いが確信に変わる。

「なんで言ってくれなかったの!?」

倉庫は静寂に包まれた…。