リレー走者の集合場所に着いた。
「二人とも随分遅かったわね。」
「ひぃっ!!麗菜ちゃ、ごめ!!!」
容赦なく耳をグイ―っと引っ張られた。
「麗菜サンも頑張るデース!!」
「えぇ、そうね。」
さっきキレてたエミリアちゃん…。
幻だったのかと疑うほどいい笑顔。
…あ、あの子もリレー出るんだ。
えっと、真由…さん、二組か。
リレーのメンバーは1クラス三名。
男女別で走ることになっている。
グラウンドを囲う様に全校生徒の視線。
「そろそろね。」
あたし達はスタート位置に入場した。
うちの学校のリレーはハードだ。
二名が500m、アンカーが1kmを、
全力疾走する…第一走者は麗菜ちゃん。
緊張の面持ちだ。
『位置について…ヨーイ…』
『パァン!』
生徒の声援が飛び交う…。
一位を疾走する麗菜ちゃん。
長い黒髪のポニーテールが風で踊る。
小柄だけどフォームが綺麗だから、
無駄がなくて速い。
「エミリアさん!」
「受け取ったデース!!」
エミリアちゃんの走りは軽やか。
まるで羽でも生えているかのようだ。
「魅香サン!!」
「おっけー」