「っぷしっ!!」

今日は祝日。テストも終わったし、

遊びまくる予定だったというのに…。

全然熱は下がらないし、気分悪いし。

「うぅ…もう最悪ぅ」

そういえば、麗菜ちゃん…うちに何かを、

置いて帰った気がする。なんだろ、これ。

机の上に置いてあるのは…CD??

あ、『Devilish Kiss.』のアルバムだ…。

「あたしの…知らない夏夜か」

あたしはボーッとしたまま、

プレイヤーにCDを入れてみた…。

応援ソング、恋愛ソング…他にも様々、

素敵な曲が沢山入っていたけれど、

中でも一曲…あたしが心を奪われた曲。

それは夏夜のソロ曲…バラードだった。

月の光が似合う美しい歌声の女性に、

恋をした乞食の少年が毎晩毎晩、

女性の歌声を聴きに行くって内容。

「夏夜の歌声、綺麗だなぁ…」

夏夜の甘い声と切ない歌詞に、

自然と世界観に夢中になっていた…。

身分も容姿も年齢も不釣り合い。

でも少年は女性がいなくなって初めて、

気持ちを伝えれば良かったと後悔する。

「”月光の恋文”…ねぇ」

ベッドの上で歌詞を広げながら、

あたしは鼻唄を歌った…。