「私電車逆方向なんだけど…。」

「ごめん、本当に…ありがと」

椅子に座ってぐったりとするあたしに、

水を差し出してくれる麗菜ちゃん。

「ほら、電車来たわよ。」

本当に面目無い…優しさに涙が出そう。

「で、あなたはどうしてまた夏夜君を、
避けるなんて奇行に走ってるの?」

ぐっ!なんで知って…いや、奇行って…。

「付き合ってるんでしょう?バレバレ。
隠しても無駄よ、主に夏夜の態度で。」

「避けてるけど…付き合ってないよ」

麗菜ちゃん曰くあたしに気がある男子は、

片っ端から夏夜の態度が冷たくなって、

女子が夏夜に告白しようものなら、

笑顔で『だから?もう帰っていい?』

なんて鬼畜な振り方をするらしい。

YesもNoも言わないとは…。

「家、ご両親いるの?」

あたしは黙って首を横に振った。

「…はぁ。」

麗菜ちゃんはあたしの家に着くと、

家の材料で雑炊を作ってくれた。

「うま!麗菜ちゃん絶対良いお嫁さんに
なるよ…てか、うちに嫁ぐ?」

結局あたしは38.7の熱があったらしい。

麗菜ちゃんはあたしをベッドに寝かせて、

さっさと家へ帰って行った。