「はぁ…頭痛い、なんでこんなことに」

トイレの鏡の前で思わず眉間を押さえる。

だってクラスのマドンナだよ??

何を恐れてあたしを教室から、

追い出すの!?あんたの美貌だけで、

充分あの夏夜も釘付けだよ!!

『キーンコーンカーンコーン』

あたしがいそいそと自席へ戻ると、

夏夜が不満げな顔であたしを見つめる。

あたしはできるだけその視線に、

気づかぬフリをして教科書を開いた。

彼の瞳は不思議で綺麗で魅力的。

でも何故かあたしは苦手。

『毎回何故呼び出されてるんだ?』

授業中、ふいにポケットの携帯が震えた。

送信主は夏夜…あんた真面目君って、

先生にも信頼されてるじゃんか。

あんたが不真面目じゃ先生が泣くぞ?

『別に、お喋りしに廊下出るだけ』

『ふぅん…じゃ、俺ともお喋りしよ。』

驚いて彼を見ると…微笑を浮かべていた。

「先生、月乃さんの顔色が悪いので、
俺、保健室へ連れて行ってきます。」

「えっ…ちょ、」

いや…それはあんたのせい!!

そんな反論の隙もなく、教室を後にする。

エミリアちゃんの氷柱のような視線が、

あたしの背中を貫いた。