『キーンコーンカーンコーン』

「ねぇ、月乃さんちょっと…いい?」

授業が終わるといつも女子数人に、

教室の外へ呼び出される…。

「…何、あたし暇じゃないんだけど」

何故呼び出されるかというと…。

クラスのマドンナ…エミリアちゃん?が

夏夜に猛アタック中だからとかいう噂。

…いや、知らんがな。

「月乃さん今日の小テストの勉強した?」

「してない」

「そ、そぉ…なんですね…。」

「へーぇ…」

どうする、次あんた喋れよ…みたいな、

なんとも言えない視線が飛び交う。

「用が無いならこれで」

「え、ちょっ、待ってよ!」

一人の女の子があたしの腕を掴む。

細い指…震えてる。少し力を加えたら、

簡単に折れそう…怖いならやめれば、

この話万事解決なのにね。

「他人の足を必死で引っ張っている内は、
己を魅力的にする術はないと伝えといて」

あたしは女の子の手をそっと放して、

微笑んだ後、速攻お手洗いに逃げ込んだ。

…とうとう喧嘩を売っちゃった。

「…マドンナに目ぇ付けられるとか、
まぁじでっ…怖すぎだしぃっ!!」

あたしは個室の中、ぐったり項垂れた。