急な変わりように驚く私達…。
しかし、よく考えたら行き先で、
両親に会えるんだよという重要な事を、
この女の子に伝えるのを失念していた。
なんだ、最初から伝えておけば、
あんな骨の折れる過酷な冒険も、
経験することなかったなと思う。
「落ち込んでるか…?」
喚かなくなった女の子の様子に、
蛍はやっちまった?と女の子の顔を、
そっと覗き込んでいた…。
「落ち込むというか…決意したのかも。
迷子センターで両親と会えるなら、
早く会って愛を確認しないとって。」
昔の蛍みたいに親に真っ直ぐ確認する。
…そんな健気な姿が容易く想像できる。
「…え、この子は女の子だよな?」
「いや、普通に女の子だよ、
女子トイレに入ってたでしょう?」
誰だって親に私のこと好き?って、
質問はするものでしょう…。
「あ、あの建物が迷子センターだ」
私達はやっと目的地近くまで来られた。
「あっ!!ママ!」
女の子がパアッと表情を輝かせ、
私と蛍の手を離して走り出す…。
その瞬間、ぶわっと冷たい北風が、
勢いよく吹き抜けて私達はほんの一瞬、
女の子から目を放した…。



