無名ファイル1


やっと目的地の1/2に差し掛かった…。

女の子も機嫌がいいしこのままなら、

ピタリと女の子が動き止めた。

「…トイレ」

「え??」

「トイレェェエッ!!!」

やっとここまで知恵で来たというのに、

…へぇ、トイレは真逆ですか。

「分かった…分かったから待って…」

結局振り出しに戻ってしまった。

トイレから戻り、ご機嫌な女の子に、

不思議そうに呟く蛍…。

「…てか、こんなに騒いでるのに、
なんで親は探しに来ないん…」

「声がでかいッ!」

私は蛍の口を塞いで、女の子に微笑む。

…聞こえたら流石にショックだよ。

「パパは…嫌い?」

私のこと嫌いなの?とポロポロと、

涙を溢す女の子…そりゃそうだわっ!

「もう!無神経!!無神経野郎!」

私は女の子を抱きしめて全力で撫でる。

いや、ツギハギパークは広いもん!

そりゃすぐに親に会えなくても、

なんらおかしくないよ!…多分。

「ほら、早く迷子センターに行けば、
パパとママに会えるから…行こう?」

元気だった女の子は急に我が儘や、

何かに興味を示すことはなくなり、

黙々と私達と一緒に歩き出した…。