いわゆるこの子はイヤイヤ期だろう。
見た目は天使なのに喚く時は、
悪魔にしか見えない…今この一瞬、
迷子センターに連れて行くだけで、
私も蛍も疲労困憊である…。
女の子は蛍がお気に入りなようで、
手を掴んで断固として離そうとしない。
一体あの小さな体のどこに、
走り回るパワーを蓄えているのか。
パーク内に人が一人もいなければ、
小脇に抱えてでも抱き上げるだろう。
しかし少なからず人がいる…。
泣きわめかれて誘拐と思われたら最悪。
「これが…デートか…壮絶だな。」
「そう思うなら何か知恵を絞って!」
女の子がどうしたら真っ直ぐ歩くか。
「やはり食い物か?」
仕方なく金平糖をバッグから出した。
「ねぇ、このキラキラ…欲しくない?」
「…ほしいぃっ…ちょーらい!!」
女の子が泣きそうな声で懇願する。
「私の手から離れないであそこの、
大きな建物まで行ったら一個あげる。」
時給スタイルだ…年俸スタイルよりは、
モチベーションもあがるのでは?
やっと解放された蛍が溜め息をついて、
関節をバキバキと鳴らしながら、
少し後ろをついてきていた…。



