無名ファイル1


「じゃあ、パパはどんな人かな?」

「…ひ”う”ぅっ、パパァッ」

次は蛍を指さしてパパだなんて。

…いや、まさか…!!!

「蛍、浮気!?」

「してない。」

うーん、流石に私も腹を痛めて、

子供を産むなんて経験はしていない。

「あ…もしかしてドッキリ?」

蛍にコソッと耳打ちしてみる。

「魅香が仕掛け人じゃなければない。」

…じゃあ、やっぱり違うのか。

「取り敢えず迷子センターに行こう…」

バッグからタオルを出して、

女の子の髪や顔を拭いてやった。

「今日は寒い…冷えると体に良くない。
…それに子供はすぐ体調を崩す。」

見た感じ、体調は大丈夫そうだ…。

「うぁぁぁぁぁあんッ!!!」

蛍が抱き上げて連れて行こうとした時、

急に大声で泣いて体を逸らせた…。

「うぉッ!?」

もう、活きのいい魚かってレベル。

本気で落としてしまうかと思った。

仕方なく、女の子を歩かせた。

手を繋いでゆっくり目的地へ向かった。

雨も降っているから傘が邪魔!!

本当に女の子は色んなものに、

凄い興味深々ですぐ走り出すし…。

絶対に迷子の原因は全力疾走だもん!!