「雨は降ってるけどお土産は、
今から見に行きたいんだけど…」

「いいよ、別に急いでないからな。」

割としっかり大粒の雨が降っている。

今日はロングスカートにしないで、

ミニスカートに分厚いタイツで正解。

ロングスカートは歩くたび揺れて、

雨粒を全て吸い上げるからね。

「あれ、ねぇ…」

「え?」

しゃがみこんでいる女の子がいた。

屋根がある場所ではあるが、

ボブの毛先から水滴が滴る程には、

濡れてしまっていた…。

「こんなところでどうしたの?
お父さんとお母さんはとはぐれた?」

俯いていた女の子が顔を上げる…。

わ、紫の瞳…泣いていたからか、

宝石のようにキラキラ輝いている。

女の子は何も言わずに私に抱き着いた。

年齢は二歳くらいだろうか…。

「…ママ」

私と蛍は顔を合わせて困り果てた。

こういう場合は何か安心させるため、

上手いことをいうべきだろうが、

生憎二人して口下手で子供の扱いは、

さっぱり分からない…。

「えーっと、ママはどんな人?」

「…ひ”ぅぅっ…ママァ」

女の子は泣きながら私を指さす。

…混乱しているのだろうか。