蛍はわざとらしく溜息をついて、
チッチッチッと舌を鳴らした…。
「なんでも無自覚っていうのが、
最もタチが悪いんだよ、魅香。」
「本当に出禁になった訳でもないのに、
勝手に説教始めるの辞めてくれる?」
昼近くになると雲は更に分厚くなった。
もう今にも雫が零れそうなくらい。
「どうする?少し早いけど帰る?」
「んー、別に降るのを待ってから、
帰る理由は無いもんなぁ…。」
むしろ雨が本格的に降り出したら、
みんなが一斉に交通機関を利用し、
混雑する未来は容易に想像できる…。
「…じゃあ、早めに帰りますか」
『ギュルルルゥゥゥッ…』
「ぁ…。」
お腹の音とは対照的に蛍の小さな声を、
私の有能な鼓膜がキャッチした…。
恥ずかしいと思ってる声…可愛い。
「悪い…何か食べてから帰らないか?」
「ふふっ、良いよ。お店に入ろうよ」
結局レストランでがっつり肉食って、
大盛りのライスを頬張る蛍を見ていた。
ここのレストランの机はツギハギ兎の、
シルエットの形をしている…可愛い。
「…結構ライス多かったな…あっ!!」
食事の間に雨は本格的に降り始めた…。