「魅香さんは何故ダサイパーカーに、
わざわざ簪を合わせてるんですか?」

「うぐっ!!」

雑貨屋で品物を物色中にふと問われる。

悪意のない純粋な疑問をぶつける視線。

隣では麗菜ちゃんが爆笑している…。

「…やっぱり、これダサい?」

華美ちゃんはにっこり微笑んで一言。

「はい、超ダサいです!!」

私は撃沈した…加えて華美ちゃんの、

爆弾発言に二人は絶句する。

「そもそもその簪…かなり高価なのに。
そんなパーカーと合わせるの勿体ない!」

…ウン十万する、なんて言うんだよ!?

「ひぇ…」

麗菜ちゃんはあたしと華美ちゃんを、

交互に見ながらドン引きしていた。

いや、知らんがな!贈り物だから、

値段なんて気にしたことないし!!

「つくづく勿体ない人ね、あなた。」

あたしはこの瞬間決意した…。

もうこのパーカーは封印する!!

「てか、簪の価値に詳しいね。」

あたしの問いに華美ちゃんは、

ほんの少し暗い顔で答えた…。

「私の母は着付けの先生なんです。
小さな頃から教え込まれたので。」

先程、洋服屋で耳にした歌声が、

ここでも聞こえた…妙に気に障る。