普段はこんなに苦しくなるほど、

ご飯を食べる事なんてないのに。

居心地の良さと料理の美味しさで、

思わず食べ過ぎてしまった…。

「とても美味しかったです。
本当にご馳走様でした!」

「お粗末様でした。」

蛍のお母さんは満足そうに笑って、

食器の片づけを始めた…。

「あ!私も片付け手伝います!」

私が台所の方へ行くと蛍のお母さんは、

優しく笑ってやんわりと断った。

「華美、着付けをしてさしあげて。」

「はい、魅香さん振袖着ますよ!」

私は華やかな振袖に身を包んだ。

赤を基調とした女の子らしい柄…。

狐のお面をしないからメイクも、

赤い着物にあるように赤い紅をつけた。

「うん、とても素敵です…!!
今日は恋をする女の子って感じで、
とても可愛らしいです!」

「華美ちゃん、本当にありがとう!」

華美ちゃんは少し俯いて笑った。

「魅香さんのおかげでお兄ちゃんが、
また着物を好きになってくれました。
こちらこそありがとうございます!」

私のおかげ…ってどういう…?

「もうこんな時間!!魅香さん、
お土産話…楽しみにしています。
いってらっしゃい!」