「ふふっ、可愛い女の子は片っ端から、
抱きしめたいオバサンですね…私。」

上品に口元に手をあてながら笑う、

蛍のお母さんの口からこんな台詞。

目からの情報と耳からの情報が、

あまりにもかけ離れていて…混乱。

「もし魅香さんがよろしければ、
抱きしめてもいいかしら?」

「へ!?ひゃい!!」

思わず裏返る声…蛍のお母さんは、

厳格そうな人に見えて実は結構、

ふわっとした性格の持ち主だった。

「ふふっ、ありがとう。」

ふわっと微笑む蛍のお母さんは、

蛍や華美ちゃんの笑い方と似ていた。

流石親子だな…。

「さぁ、朝食の準備が整いました。
例年よりおせちに凝ってみました!
気兼ねなくお召し上がりください。」

『いただきます。』

重箱に美しく並んでいるおせち。

どれも綺麗で美味しそう…!!

お料理も上手な人なんだな…。

「伊達巻ってこんな味なんですね!
私長い期間オーストリアにいたので、
おせちを食べるのが久々で…!!」

「喜んでもらえて嬉しいです。
よろしければレシピもお教えします。
よくお料理をなさるみたいですし、
魅香さんなら作れると思いますよ。」