『ブゥォォォオッ!!!』

華美ちゃんの細く柔らかい指が、

私の髪を丁寧に撫でるように梳く。

「長くて綺麗ですね…一本一本が、
糸みたいに艶々してて美術品みたい。」

「美術品…?」

あぁ、私は美術の成績悪かったし、

美的センスは無いから何も言えないわ。

「で、ソファーに座ってこっちを、
じっと見てる蛍はどうしたんだろう?
眠かったんじゃないの…?」

「あぁ…気にしなくて大丈夫ですよ。
お兄ちゃんは髪を乾かすことを口実に、
綺麗な髪に触れる私に嫉妬中です。」

華美ちゃんはドライヤーを止め、

櫛で丁寧に梳かし始めた。

「完成です!」

「ありがとう!!」

誇らしげに笑う華美ちゃん…可愛い。

寝る準備が整った時には既に二時。

まずい、華美ちゃんが夜更かしで、

体調を崩しでもしたら可哀想だ!!

「華美ちゃん、早く寝よう!!
睡眠不足は体に良くないから!」

私は何処で寝たらいい?と聞くと、

華美ちゃんはニヤリと笑った。

「魅香さんはお兄ちゃんと、
仲良く寝ると良いですよ~!!」

「ふぁっ!?」

「…は?ちょ、おい!!」

蛍が勢いよくソファーを立った。