蛍がやっと口を開いたのは、

二人が部屋を出て10分後だった。

「スゥーッ…ハァ…眠い。」

やっと口を開いたかと思えば、

一言目がそれかい!!と思いつつ、

ずっと眠そうだったなと思った。

「お疲れ様。」

「着物…似合ってるな。」

そっか…すぐに放送が始まって、

褒めてもらってなかったな…。

「あ、ありがと!」

むしろバタバタして忘れてた。

流石アイドルだ…。

「魅香さん、お待たせしました!
着替えのお手伝いします!!」

「はっ、華美ちゃん!ありがと!」

私は華美ちゃんに連れられて、

三時間着ていた着物を脱いだ。

「わ、なんか解放感が凄い」

「ふふっ、慣れないとそうですよね!
三時間もお疲れさまでした!!
体調など異変はありませんか?」

もう気遣いが本当にプロだ…。

「大丈夫、ありがと!!」

「魅香さん、明日の朝おせちや、
お雑煮を一緒に食べませんか?
今晩はうちに泊まっていきませんか?
今から帰るのは危ないですし。」

ねっ?と小首を傾げる華美ちゃん。

う”っ、小動物みたいで可愛いっ!!

「いいの?家族の時間なのに…」

「勿論です!!」