『えぇ、誘い受けたの!?』
「うん、どうせ暇だから」
電話口の相手は大きな溜息をつく。
「えぇ…即決?」
「うん」
勿論、相手は噂の黒崎麗菜だ…。
蛍との電話の後すぐに着信がきた。
「あ、木彫りのお面でも作る?
配信の時に着けるの…どうよ?」
能面とおかめどっちが良いかな。
「そうね、顔を隠せば炎上しても、
そんなに困ることもないかも。」
なんて物騒なことをボソッと呟き、
やっと決意が固まったようだった。
「怜治に連絡してくるわ。」
「うん、いってらっしゃい!」
こうして生放送配信の準備は、
着々と進んでいった。
もう今年も終わるんだなぁと、
ガラにもなく感傷に浸ってしまった。
結局お面は前日に二人で彫った。
麗菜が白い狐、私が黒い狐。
私は手先が不器用すぎて狐の片耳が、
ポロっといってしまったけど、
接着剤の力で事なきを得た。
…いや!だから黒に塗った訳では…。
衣装は着物を狐の雰囲気に合わせて、
華美ちゃんが着付けてくれるらしい。
本当になんていい子なんだろう…!
髪もやってくれるって言っていたし、
今からかなり楽しみだ♪