『コンコン…』

「…返事がありませんね。
寝てるのかもしれないです。」

『ガチャッ』

容赦なくドアを開けた華美ちゃん。

ノックした意味…あ、寝てる。

「そういえば、プリンどうぞ!
今日は少し顔を見に来ただけだし、
もうお暇するね…本人の許可無しに、
寝顔見るのは…申し訳ないもん」

眉間に皺を寄せて目を閉じる蛍。

紅い頬にそっと手の甲で触れると、

触れた所からじんわりと熱が伝わる。

「熱…高いね」

「今日のために仕事を頑張ってて、
熱が出たのが不憫だったんです…。
お見舞いありがとうございます!」

やっぱり蛍には私…というか、

彼女という存在は重いんじゃないか。

真面目な蛍のことだ…これからも、

私と過ごすために無理をするかも。

「…私、蛍の負担になってないかな」

自然に口から零れだしていた。

「そんなわけ無いじゃないですか!!」

私は華美ちゃんの大きな声に驚いた…。

こんな大きな声を出せる子だったんだ。

「あっ…急に大きな声ですみません。
…でも、絶対に負担じゃありません!
魅香さんはお兄ちゃんの原動力で、
心の支えで…大切な人ですから!!」