約束の時間…家のインターホンを、

押すタイミングに悩んでいた…。

「スゥーッ…よし」

ボタンに指が触れた瞬間、

後ろから人影が被さった…。

「うちに何か?」

「ヒェッ!お見舞いに参りました!」

誰かと思えば、蛍のお母様!!

今日も美しく着物を着こなし、

上品に立っていた…正に立てば芍薬。

「あら、貴方は蛍の…。」

「ご挨拶遅れました…現在蛍さんと、
お付き合いさせていただいています。
月乃魅香と申します…」

着付け教室の先生ってことは、

やはり礼儀にも厳しいのだろう。

「ふふっ、そう蛍の…大切な人…。
そんなに緊張なさらないで!!
私は蛍の母です、お入りください。」

第一印象よりも柔らかい人だった…。

「お邪魔いたします」

「あ、魅香さん!こちらへどうぞ!」

華美ちゃんはいたずらっ子のように、

楽しそうに笑った。

「お兄ちゃんは魅香さんが来ること、
知らないので反応が楽しみです!」

「…怒らないかな?」

私の言葉に鼻で笑う華美ちゃん。

「もし怒られたら心配だったって、
本当のこと言えば大丈夫ですよ!
てか、ドタキャンするのが悪いです!」