紅葉が散り、木の枝が寂しげな朝。
そろそろマフラーを出そうかなと、
冷えた手の指先に息を吹きかける…。
「おはよー」
少し前を歩く後ろ姿に声をかけた。
黒髪がマフラーに埋もれている…。
「魅香、おはよう。」
ずびっと鼻をすする麗菜。
小さな体を更にすぼめていた…。
「もう寒すぎ…っぷしゅ!!」
ガタガタと震えながら怒り心頭だ。
「えーそんなに?カイロは?」
「背中にも手持ちのも所持してなお、
寒さに打ち勝つことが出来ないの。」
ポケットティッシュを出して、
チィィィンッと拭いていた…。
「カイロは軟弱よ…炬燵が恋しい。」
「もう少しで教室だから頑張れ!」
なんと教室に入ると窓が全開だった。
麗菜がその光景を目撃すると、
ひっと短く息を吸って後方に倒れた。
「麗菜ァァァッ!!」
うわ、教室さっむぅ…!!
「魅香、麗菜!おはようデース!」
朝から元気な登校トップバッター。
「お、おはよ、エミリア…地獄か?」
「あぁ、換気していたデース!!
少し寒いですね、閉めましょう!」
少し?ケロッとしているエミリアを、
麗菜が凄い目で見ていた。