無名ファイル1


お手洗いへを済ませ、廊下を歩く私。

一人の人物が声をかけてきた。

その人物は猫撫で声で一言。

「あー、残念!!無様な姿が、
見られるかなと思ったのにな~。」

…なんて悪質なんだろう。

そんなことをしても蛍は、

絶対に貴方に向くことはないのに。

「真由さん!衣装作った子には、
ちゃんと謝ってほしい…時間を割いて、
一生懸命作ってくれていたんだよ?」

真由さんは栗色のボブの毛先を、

パッと払って馬鹿にしたように笑った。

「努力ってすっごく無駄だよねー!
だって真由がハサミちょきってしたら、
今までの時間は全部水の泡だもん♪」

なんか…この子凄く勿体無い。

顔は可愛いのに心無い言葉を使うから、

性格の悪さが顔に滲み出てる…。

「性格が悪いって凄いよねー!!
どんなに可愛い顔の子もたちまちに、
ブスな印象に変えちゃうんだから!」

「ハァ??」

文化祭の賑わいの無い階の廊下。

空き教室ばかりで静寂に包まれている。

「…ここの階は静かだね。
おかげで貴方の犯行の言質は、
綺麗に録音できたよ。」

「…!?はっ、声だけで誰かは
判別できないじゃん☆ハッタリ?」