「成長しましたね…木の陰から、
私を覗き見ていた時の面影はなく、
魅力的になられました…」
「覚えていらしたのですか…?」
蛍は私にそっと近づいて手を取った。
「えぇ、ずっと再会を心待ちに、
日々を過ごしておりました…」
「感無量です…貴方をこの腕で、
抱いてもよろしいですか?」
え!?そ、そんな台詞…
「えぇ、どうぞ」
背中に回された手が背筋を撫でる。
ひぁ、今…チャック上げてくれた!?
「夢のようです…貴方にこうして、
触れられる日がくるとは…。」
熱っぽい視線が私を真っ直ぐ捉える。
「一度でいいのです…貴方の唇を、
愛しい唇を俺にくださりませんか?」
「ふふっ、良いですよ」
触れるように…そっとキスをされる。
「本当に…一度でいいのですか?」
「いえ」
今度は喰われてしまいそうな程、
熱く、焦がれる…溶けるようなキス。
「貴方に…伝えたいことがあります、
俺の心の中に閉じ込めていた感情。」
「…奇遇ですね、私もですよ。
全てが美しいものではありません、
汚い愛も…醜い愛も…溢れそうです」
蛍がクスリと笑う。
「奇遇ですね、俺もです。」



