「さて、劇の練習しますか!!」

「あぁ、まだ完成してないからな。」

私達は劇の台詞や動きの確認を、

数時間ほど黙々と練習した。

元々、二人して完璧主義な為、

細かい立ち位置確認に熱中していた。

『ギィィィッ』

「また二人でこんな所…に」

丁度ラストの見所…キスシーンの、

立ち位置を二人で熱く議論していた時、

運悪く華美ちゃんがやってきた。

『あっ…』

三人の声が重なる…。

体を密着させている兄と彼女を見た妹。

最悪な構図だ…しかも華美ちゃんは、

純粋な小学五年生ですよ!?

男女の関係についてこの一件で、

もしトラウマになってしまったら!?

「あー、ごゆっくりぃ~。」

『ギィィィッ…パタン』

「ちっ、違うのぉ!!華美ちゃん!!
ごめんなさい!戻ってきてぇぇえ!!」

地下の防音室…勿論向こう側には、

私の叫び声は聞こえなかっただろう。

結局華美ちゃんには戻ってきてもらい、

必死で説明と謝罪をした…。

「いや…むしろ邪魔してしまって、
本当にごめんなさい…気を付けます。」

なんて真面目なんだッ!!

そうして劇の練習を重ねた二人だった。