私はバッグからネックレスを出し、

はい!と、蛍の手のひらに乗せる…。

「え、何…返品不可ですが?」

凄い真っ青な顔でボソッと抗議された。

「ふふっ…違う、首につけてよ!」

「あぁ、良いよ、こっち寄って。」

丁寧な手つきでネックレスをつける彼。

…我ながら大胆なお願いをしたなと、

彼の香水の匂いに気づいた時に思った。

「あれ、香水なんてつけてた?」

「この間、ファンに貰った。妬いた?」

蛍がいたずらっ子のように笑う。

「うん…ちょっと妬いた」

「ふっ、分かった。もうつけない。
あ、俺もネックレスつけて…魅香。」

私にネックレスを渡した蛍が、

ほんの少し顔を近づける。

「これこそ首輪みたいだね」

「ピアスとは違っていつでも外せる。
まぁ…もう二度と外させないけど。」

私の首元のネックレスを指先で、

クイッと引っ張ってにやりと笑う。

「今日の服、ネックレスが映える。」

「褒めてくれてありがとう、嬉しい…」

流石、百合ネェセレクト…と感心した。

「あと…身の上話をする覚悟を、
してきたのですが…聞きます?」

「…聞く。今度は待つよ、話して?」