「ここ座るの懐かしいな…麗菜ちゃんは、
今もずっと通ってるの?彼とはどう?」

麗菜ちゃんはアイスティーの氷を、

ストローで掻き回しながら眉を下げる。

「知ってるでしょ、彼がアイドルなの。
今の彼は皆のレン君なんだから…。」

れん…くん?アイ…ドル?なにそれ。

「ごめん、初耳。うちテレビ無いの」

麗菜ちゃんがポカンとした顔で固まる。

こんな間抜けな顔の麗菜ちゃんを、

私は初めて見た…ごめんね、驚かせて。

「え?待って、本当に知らないの??
あの"Devilish Kiss."を…!?」

「ぶふぇっ!!!」

麗菜ちゃんが勢いよくあたしの顔面に、

携帯の画面を押し付けた。

「ホタル&レンのユニットグループ、
"Devilish Kiss."大人気アイドル…??」

え、てか…ちょ、ちょちょちょ!!!

待ってよ、レンの隣にいるのって!!

「…ホタルって、夏夜じゃん!?!?」

「私、魅香は知ってると思ってた。」

知らんわ…知らん知らん!!!

目をかっぴらいて携帯を凝視した。

「夏夜ってアイドルだったのぉ!?!?」

麗菜ちゃんはやれやれと溜め息をついた。