数年前はあんなに恐ろしかったのに。

180㎝を優に超える身長の男の背中が、

あんなに小さく…惨めに見えるとはね。

「それでも…腰は抜けるのか…」

震える冷たい指先を包み込む様に握る。

…やっとトラウマから解放される。

何年も怯えたあの姿はもう怖くない。

あぁ、早く貴方に会いたい…。

大好きなあの人笑顔が脳裏によぎる。

「なんだ…もう答え出てるじゃん」

未だ震える脚に鞭を打ち、立ち上がる。

教室を目指して走り出した。

『ガチャッ!!』

「わっ!…魅香、何してたんデス?」

参考書とノートを抱き締めるエミリア。

何食わぬ顔で笑ってるけど動揺してる。

全然目が合わないもん…。

「先生を絞めてきたの」

「…Huh??」

目を真ん丸にして…聞き間違えたと、

思ってるんだろうなぁ…。

「いや…なんでもない、丁度良かった。
やっと私の気持ちに答えが出たんだ…」

「答え…考えてくれたんデスね!!」

その声はほんの少し震えていた。

「三日も待たせてごめんね」

「いえ…真剣に考えてくださり、
ありがとうございます…魅香。
受け止める準備は出来ています。」