『ガチャッ』
「はぁっ…」
リビングのソファーに身を投げる。
体が柔らかな上質な革に沈んでゆく。
「気持ち…か、返事どうしよ…」
私はなんて失礼な人間なんだろう。
彼女の気持ちに全く気付かなかった。
いや、気がつかないようにしてた…。
「最低だ…私」
エミリアの優しさに甘えてたんだ。
友達という肩書きに安心してたんだ…。
カーテンの閉まった薄暗い部屋の中、
手の中の箱から時を刻む音がする…。
「わぁ…有名ブランドの時計だ」
彼女の気持ちとして渡された箱。
”時を共に刻みたい”友達ではなく、
恋人として…ということだろう。
目の前のローテーブルに視線を移すと、
簪とネックレスがこれ見よがしに並ぶ。
「だから蛍を邪険に扱ってたのか…。
てか、誰よ!ここに簪を置いたのは!!
いや、いーや、私しかいないけどさ!
分かってる…こんなんじゃ…うぅ…っ」
私はしばらく大声で泣いた…。
癇癪を起した小さな子供みたいに。
『ピンポーン!!』
「ひ”ぅっ!?」
え…だっ、誰…??
私は涙を拭って玄関へ走った。
『…ガチャッ』
「どちら様ですか…?」



