「なっ…で、アカウ…ント、
消せなっ、声…っ、潰すの…?」

「あははっ、何言ってるんだい?
アカウント消しても別の所で歌ったら、
意味が無いだろう?だから元を断つ。」

温度のない声で感情なく言い放つ。

私は必死にサドの腕に爪を立てた…。

もはや声は出せないし、息もできない。

朦朧とする…そんな中、背後で扉の音。

「失礼します、サド先生?」

「ひゅっ、ゲホッ…ケホケホッ!!」

気管が解放され一気に酸素が体を廻る。

振り向くと担任のチビゴリラ先生の姿。

「せんせっ…ケホケホッ!!」

「月乃どうした!?大丈夫かぁ??」

先生の豪快な声に私は心底安堵した…。

サドは無害そうな笑みに戻っている。

「大丈夫です」

「埃を吸ってしまったみたいですね。
話は以上です、帰宅していいですよ。」

チビゴリラ先生は少し心配そうに、

背中を擦ってくれる…温かい手だった。

「夏夜にサド先生と月乃を二人きりに
するのは如何なものかと言われてな。」

「僕が若造だからですかねぇ?
すみません、肝に命じておきます。」

あ、夏夜が先生を呼んでくれたんだ…。

「さようなら、先生」