ー休日ー

クラシックの音色とコーヒー豆の香り。

あたしは一人で洒落たカフェにいた。

カウンター席に常連のおじいちゃんが、

いるような古くからあるお店だが、

つい最近リニューアルして綺麗になった。

小さな頃はよく来ていてマスターとは、

顔馴染み。リニューアルしてからは、

初めて足を運んだ…。久々に特等席で、

コーヒー片手に小説を読む…至福の時だ。

『カランコロ-ン』

ドアにぶら下がるベルが鳴り響く。

「ごめん、お待たせ…!」

「遅延はしゃーないよ、お疲れ~」

向かいの席に座ったのは麗菜ちゃん。

入学式の日、なんとか連絡先を入手して、

お喋りする機会を儲けることができた。

「あぁ、麗ちゃん…いらっしゃい、
いつもので良い?ふふ…二人が一緒に、
座っていると昔を思い出すなぁ…。」

「おじさんこんにちは、いつもので。
…で、あなたは何ニヤニヤしてるの。」

マスターに微笑んだのが嘘かのように、

あたしに冷ややかな視線を向けた。

「いや、春だなぁって…」

窓の外に視線を向け、しみじみと呟く。

木々の隙間から溢れる木漏れ日に、

あたしは目を細めた。