「……言ってたよ。マコトくんのお父さんの、口癖だったんだって」

心地よい子守り歌みたいな声で、その人は話し始めた。

「幼い頃、まだお父さんが生きていたころ、マコトくんはお父さんに尋ねたことがあったんだって。どうして世界平和がいいの?って。
昨日、その返事を、マコトくん、思い出したらしいんだ」

俺は想像する。マコトが滑らかに、迷いなく話すあの声を。
少しの自信を含んで、得意げに鼻をこする、親友の姿を。