しばらくして、深夜のトイレの付き添いがおむつ交換に代わりました。

その頃から祖父は会話もままならなくなり、母のことも私のことも分からなくなっていました。

うう、あああ、そんな叫び声で夜の間何度も目覚めました。

その日も、2階の自室で眠っていた私の元へ、下の階から祖父のうなり声が届きました。

なぜかそのまま目が冴えて、寝返りを打っても眠りにつけず、1階へと階段を下りました。





リビングのドアを開くと、ちかちかと切れかけた蛍光灯の下で、母がうなだれていました。

祖父の翌朝の服薬の準備でしょう、赤や白やたくさんの薬をプチ、プチ、と机に出しながら。

「これ全部飲んだら、母さんが死ねるかな……」

母は、虚ろな目で言いました。

そういえば父は今週も家に帰ってきていません。