―――通称『ココアちゃん』


これは、勇治が勝手に付けたあだ名で。


決して、あの子の名前じゃない。



いつも、見るたびにココアを飲んでる。

それは美味しそうに。


なんだか、その顔がかわいくて、自販機へ行く度に探してしまう。


あまりに幸せそうだったあの子を思い出しながら、俺もココアを買ってみた。

似合わないけど。


「あっれ〜意外、オマエがココアぁ?」

ニヤけながら勇治が言う。

「うっせー」


あーウザい。

いい加減そうに見えて、変に勘がいいんだよな。コイツ。


思わず、勇治を睨む。