(今は続けるのが困難でも、私がいつかお店を絶対に元通りにしてみせる……)

強く心で思いながら、葵は掃除に取り掛かろうとした。
するとふいに、父と使っているディスクの上のはがきの束に視線を奪われる。

「これ、なんだろう」

一枚めくってみると、大きく“挨拶状”と記されている。
内容は、常連客に向けて、十二月下旬に閉店する旨を伝えるものだった。

(お父さん、いつの間にこんなに……)

ざっと百枚はあるだろうか。
ペラペラとめくっていると、ある人物の名前が目に留まり、葵の心臓はドキッと跳ね上がった。


「……須和柾様」