利光が倒れて半年がたち……脳腫瘍は少しずつ大きくなっていた。
お店を閉めたこの年明けから、いよいよ放射線治療が始まる。
並行して葵は医者を探しているが、名医の数も少ないうえに、予約も困難とあって未だに見つけられないでいる。焦りは募っていくばかりだ。
「……じゃあ、葵、戸締りをよろしく頼む」
「うん、了解」
本来、十二月はクリスマスや年末などのイベントが続き、お店の繁忙期にあたる。
だが……今の天馬堂は利光がほとんど動けない状態で、大勢の客に対処できるほどの余裕がなかった。半日だけ店を開け、残り半分の営業時間は、葵が利光に技を教えてもらう時間に当てている。
「閉店……しちゃうんだよね。本当に」
自分を取り囲んでいる店内は、昔と変わらないままずっと存在していた。
それが、あと数日もすれば消えてなくなってしまうなんて。
全く現実味がない。
お店を閉めたこの年明けから、いよいよ放射線治療が始まる。
並行して葵は医者を探しているが、名医の数も少ないうえに、予約も困難とあって未だに見つけられないでいる。焦りは募っていくばかりだ。
「……じゃあ、葵、戸締りをよろしく頼む」
「うん、了解」
本来、十二月はクリスマスや年末などのイベントが続き、お店の繁忙期にあたる。
だが……今の天馬堂は利光がほとんど動けない状態で、大勢の客に対処できるほどの余裕がなかった。半日だけ店を開け、残り半分の営業時間は、葵が利光に技を教えてもらう時間に当てている。
「閉店……しちゃうんだよね。本当に」
自分を取り囲んでいる店内は、昔と変わらないままずっと存在していた。
それが、あと数日もすれば消えてなくなってしまうなんて。
全く現実味がない。

