「……っ」
鈍器で殴られたような衝撃を感じ、葵は絶句する。
一番最悪のシナリオが現実となって、終わりに向けて走り出そうとしている。
「待って、お父さん。私が何とかするから」
「……」
「お店の方は、お父さんが動けない時は私が対処するから。
だから……畳むなんて言わないで……」
「葵、もうやめてくれよ」
「お店を私に継がせてください。お願いします」
大きく声を張り上げ、葵は深々と頭を下げた。
まだまだ自分が青いのは承知だ。
だけど、もうこの方法しか残っていないのかもしれない。
「お父さんには手術ができるお医者さんが見つかるまで、放射線の治療を受けて欲しい。
お店は私に任せてくれればいいから!」
「葵……」
放射線には高い治療費がかかるようだが、進行を遅らせてくれると医師が言っていた。
時間は刻一刻と進んでいる。腫瘍の進行を食い止めるにはこの方法しかない。

