独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む

医師から一通りこれからの動きや注意事項諸々を聞いた葵は、
利光が運ばれた病室へと足を向けた。

(お父さん、起きてる)

個室の扉を開くと、利光は点滴を打ち、ボーッと視線を宙に浮かせていた。
明らかに様子のおかしい姿に、胸の奥が締め付けられる。

「お父さん大丈夫? 頭、痛くない?」

「ああ」

「……」

利光は目も合わせてくれない。

何故倒れる前に話してくれなかったのだろうか、問い詰めたい気持ちもあったが、
ここまで弱々しい利光を目の当たりにして、葵は何も言えなくなった。

「葵」

「え?」

長い沈黙のあと、利光は口を開いた。



「店を畳もう、俺が動けるうちに」